7月17~23日まで、国際ブックフェアが開催された香港に滞在していました。
目の前の仕事に追われているうち、思い出がいったん離れてしまいましたが、写真を見返していると、また心に蘇ってきます。
伝統と革新、猥雑と洗練とが混在したカオス。
こういう、とっても味のある香港市街の街並みの写真を、フリー素材でなく自前で持っていることが、喜びでございます。
地価や人口密度が世界屈指の高さで、しかも日本と違って地震が少ない地域なので、建物を思いっきり縦へ伸ばすことができ、しかも密集させることができます。
ほんとは、やや違法なのかも?
私も、写真に関しては著作権を主張しませんので、気に入ってくださった方がいらしたら、ご自由にお使いください。
滞在していた7日のうち、4日半ぐらいは雨が降ったりやんだりで、天気が悪かったのです。
日本の梅雨明けが早かったので、香港で地球規模の「つじつま合わせ」が行われてるんじゃないかと思ったぐらいなのですが、そのぶん、雰囲気のある写真も含まれているかと思います。
たぶん、簡易的な郵便受けだと思うんですが、
「くまモン」が載っていて「JAやつしろ」と書かれている、いちごパックですね。
思わぬ形で見つけた、香港の中のニッポンでした。
それはさておき、カルチャーショック! 香港の法廷
ド派手な香港の弁護士広告です。「免費」と書いてあるので、無料法律相談の告知でしょうか。
おかげさまで漢字が読めるので、離婚や遺産、刑事訴訟などに関する相談ができそうなことを読みとることができます。
もちろん、この広告があるのは、裁判所の近く!
前回の投稿はコチラです ↓
キミは知っているか? 香港で自由に裁判傍聴していいのかどうか!
ここで、「信じられない光景が!」「法廷にあるはずのものがない!」と、仰々しく引っ張ったわけですが、皆さんからのリアクションがあまりにも薄かったために、答え合わせをほったらかしにしておりました(笑)
ひとりで盛り上がっちゃいました。
よくないですね。ひとりよがりは。
答えはもう、この投稿のタイトルに書いちゃいましたが、結構な衝撃がありましたよ。
裁判傍聴をしたことがなくても、裁判ものの映画やドラマを観たことがある方は多いでしょうが、法廷の構造がどうなっているか、については記憶が曖昧ですよね。
そりゃそうです。私だって「ドクターX」や「白い巨塔」を観ても、ストーリーの把握に神経を使っているので、病院の手術室がどうなっているのかまでハッキリ覚えてませんもん。
念のため、まずは日本の法廷を改めて確認してみましょう。
フリー素材のイラストですが、そこそこ正確に再現されています。
向かって左右に、原告と被告(刑事裁判の場合は検察官と弁護人)が、向き合う形で座ります。中央に証言台がありますね。
いわば、両当事者の「対決」を印象づけるような、そんな構造です。
そして、傍聴席と法廷の内部を隔てる柵が張られています。
しかし、香港の法廷には、この柵がないのです!
雑ですみません。
法廷の“こちら側”と“向こう側”の間に、「結界」が張られていないともいえるでしょうか。
私は事あるごとに「法廷の向こう側とこちら側は、ちゃんと繋がっている」と主張してきましたが、香港の法廷は、それが物理的に実現されているのです。
カルビー「じゃがりこ」が置かれた法廷
証人席も、日本人にとっては信じられない位置にあります。
衝撃だったのは、弁護人と検察官が横並びに座っていて、まるで大学の講義室で裁判官とディスカッションしているようにして、裁判が行われていたことです。
弁護人も検察官も、手元のペーパーをほとんど読みません。
身振り手振りや、声のトーンの変化などを交えて、自分の言葉で主張しています。
日本の法廷を傍聴するよりも「法廷ドラマ的」かもしれません。
検事の後ろの席に、「じゃがりこ」が置いてあったのが謎です。
おいしいけど、なにも法廷の真ん中に置いておくことはない。
たぶん、じゃがりこがあった席は、検察をサポートする担当官(日本でいう検察事務官)の固定席ではないでしょうか。
ひょっとして、刑事法廷で、「懲役●年」の判決言い渡しを聞きながら、じゃがりこをポリポリ食べてんのかな。すげぇな。
だとすると、同じ検察官と裁判官が、毎日のように顔を合わせる「親しい仲」だと考えられ、両者が心理的に癒着しやすい環境になっている点は、日本と同じかもしれません(むしろ、そうなっていない国を知りたい)。
通訳人が、被告人が弁護人の後方(傍聴席のすぐ手前)に座っていて、耳元で直接通訳している構造も日本と違いますね。
日本の通訳人は、裁判官のそばの席に座り、「嘘の通訳をしない」旨の宣誓をした上で、無線のイアホンマイクを被告人に装着させ、通訳を行います。
つまり、被告人と通訳人の距離が離れていますし、かなり儀式的です。
香港では、中国語と英語の両方が日常的に使われているので、通訳人の存在が日本よりもカジュアルなのかもしれません。
傍聴席には、映画館の客席のようなわずかな段差があり、後ろにいるほど高くなっていて、前に座っている傍聴人の頭がジャマにならない構造です。
しかも、法廷の後方だけでなく、横にもあり、いわば「L字型」の構成になっていましたね。
今回傍聴した刑事裁判は、窃盗と、労働法違反的なものの2件です。
せめて、英語をばっちりヒアリングできると、もっと深く、香港の裁判制度を知ることができるような気がします。ただ、昔からヒアリングは苦手なのよね。
ちなみに、最近は「リスニング」というらしいですね。
「ヒアリング」と言った時点で、昭和のおっさんなのだな。
事実、昭和のおっさんなのだが。