「戦力は保持しない」日本で、自衛隊を保持する ヘリクツの作り方

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mohamed_hassan / Pixabay

法の解釈とは、冷蔵庫の中にある食材で、あり合わせの料理をつくるのに近いです。

法律実務家である、裁判官・検察官・弁護士のやっている仕事が、まさにコレです。

条文の「あり合わせ」で理屈を組み立てることを、今回はあえて「ヘリクツ」と言ってしまおう!

はい、勢いでタイトルを付けました。

法律実務家は、作りたい法律を作れません。

作れるのは国会議員です。立法府の人たちです。

国会議員は、つくりたい料理から逆算して、スーパーで新しい食材を買ってくることができる。

司法に関わる法律家に、そんな贅沢はできません。

それでも、今ある法律を組み合わせて、ギリギリいい感じの現実的な落としどころを導き出すのが任務なのです。

あり合わせには、あり合わせの美学があるのです。

ここに、こんな材料があります。

◆日本国憲法 第9条

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

ええっ?

ジャパンという国は、戦力を保持しない と書いてありますね。

だからって、この期に及んで、自衛隊を憲法違反にできるだろうか?

できないですよね。

災害のとき、あんなに身を挺して国民を助けてくださるのです。

仮に自衛隊の存在が、憲法9条違反だとしましょう。

筋を通すならば、「憲法を変える」か、「自衛隊を廃止するか」の2択です。

どちらを行けども、茨の道。

では、どうするのか?

「戦力は保持しない」けど「自衛隊はOK」というヘリクツを編み出すのみでございます。

今回は、そんなヘリクツのうち、3本をご紹介しましょう。

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1.そもそも、自衛隊は「戦力」ではない!

これは政府見解ですね。

日本は憲法上、戦力は保持できない。

だけど、自衛隊は「必要最小限度の実力」だから保持できるとの理屈です。

でもねぇ……

仮に、自衛隊が実力だとしたら、自衛隊の演習は「実力テスト」ってことになるじゃありませんか。

ずいぶん軽いっすね。

ん~……

これ、どうっすかね、奥さん。

どう見たって、戦力じゃないですか?

理屈じゃありません。普通の感覚でです。

(一連の写真は陸上自衛隊HPより引用)

よって、自衛隊は戦力じゃないからOKというのは、無理があります。

2.日本を攻撃してくる国を、国だと認めなきゃいい!

憲法の9条2項には「国の交戦権は、これを認めない」とも書いてありますね。ここに注目します。

戦争は、国と国との軍事衝突なのです。

じゃあ、テロリストが日本に攻めこんできたら、どうか?

テロリストは国じゃないので、戦争を仕掛けられたわけではない。

かりに自衛隊が武力で反撃したって、これは「交戦権」の行使じゃないので、認められるというわけです。

この流れを応用します。

この日本を攻撃してこようとする国があるとすれば、それはテロ国家、いや、国家とすら呼びたくない。

なので、反撃したって、交戦権の行使じゃない。

だって、お前らは「国」の軍隊じゃねえもん。

えっ? なんだって? 国連に加盟してるって?

国連が認めても、俺様は「国」だと認めねえ。

ただの不穏分子だ。

だから、ガンガン取り締まれ!

こういう理屈ですね。

たとえば、北朝鮮が相手なら、この理屈も使いやすいです。日本は国交を結んでませんから。

しかし、国交を結んじゃってる国が相手だと、いったん国交を断絶させてから攻撃しなきゃいけないかもしれません。

緊急事態にもかかわらず、けっこうな手間がかかりますね。

3.自衛隊は国民の人権を守る存在だからOK!

9条のみにこだわると、ちょっと無理が出てきそうです。別の条文にも目を向けてみましょう。

◆日本国憲法 第11条

 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

◆日本国憲法 第13条

 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

つまり、戦争は最悪の人権侵害である。日本国は、その基本的人権を最大限に尊重する。よって、その尊重すべき国民の人権を保護するため、相手国を攻撃するというわけです。

とても、まっとうですよね。

しかし、まっとうだからこその落とし穴もあります。

自国民を保護するためなら、どんな軍事行動でも正当化させてしまうおそれがあります。

もちろん、自衛隊員にも基本的人権がありますので、そう簡単に生命や身体を危険にさらすわけにはいきません。

ただ、万が一にでも仮に、かなり無茶な作戦で大勢の自衛隊員が亡くなったとしても、「それで1億2千万人の基本的人権が守られたから、これでいいのだ」と、最大多数の最大幸福みたいな別の理屈を引っ張り出してきて、幕引きされかねません。


私は、憲法9条の改正に、どちらかというと賛成です。

最前線で国を守ってくださる自衛隊の存在を、憲法に盛り込むべきだと考えています。

ただし、自衛隊は何ができて、何ができないのか も、憲法にキッチリ書いていただきたい。

その線引きを曖昧にするつもりの憲法改正は、やるべきではありません。だったら、今の矛盾だらけの憲法9条のほうが、まだマシです。

ナガミネ文晶塾

 

 

 

 

 

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