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大川恭平裁判官「馬にお世話になった人生……」

time 2016/11/01

大川恭平裁判官「馬にお世話になった人生……」

ニュースやサスペンスドラマで「保険金殺人」というのは たまに聞くが、殺害された2頭の馬、いずれにも保険がかけられていたという。

動物なので、おそらく生命保険ではなく、物損を補償する損害保険なのだろう。

 

北海道新冠町(にいかっぷちょう)の牧場で、競走馬のサラブレッド2頭の射殺体が発見されるという痛ましい事件が発生した。まだ、競馬にデビューする前の若い雄馬の、頭部や脇腹に銃弾の痕跡が見つかっており、牧場を経営していた男性の通報で発覚した。

周辺には、ライフル銃に装填されていたものとみられる薬莢4つが転がっていた。

そして、5か月間にわたる捜査の結果、射殺した容疑(動物愛護法違反と銃刀法違反の疑い)で警察に逮捕されたのが、その通報者だった。

幾頭もの名馬を輩出した牧場だったが、経営に行き詰まっており、事件の2か月後に破産手続きが開始した。

牧場主は、酒を飲みながら、裁判所から受け取った破産手続きに関する書類に目を通していた。

 

どうして、こんなことになってしまった?

どうして……。

 

外に目をやると、馬たちが暢気に干し草を食んでいる。

 

こっちの気も知らないで、暢気なもんだ。

その干し草に、いくらかかると思ってやがる。

 

男はライフルを手に取った。牧場などに出没するシカを駆除するために、猟銃所持の免許を取っていたのである。

しかし、今まで長年にわたって可愛がってきた馬たちに、その銃口を向けた。

絶望がいつしか、他責的な怒りへと変化していた。 

 

 

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判決公判(2016年10月7日)


札幌地裁浦河支部の大川恭平裁判官は、牧場主に執行猶予付きの懲役1年を言いわたした。

「破産の責任を競走馬に転嫁し、怒りにまかせて犯行に及んでいる」

「自己中心的で、愛護動物の生命の尊厳を軽視している」

厳しい言葉で綴られた判決理由が読み上げられていく。

一方で、「今後、被告が希望する動物に関わる職業に就くことは難しく、社会的制裁を受けている」として、刑の執行を猶予する根拠も述べられた。

 

そして、最後に裁判官は被告人に、こう語りかけたという。

「あなたは中高、大学と、競走馬が稼いでくれたお金で生きてきたのではありませんか」

「馬にお世話になった人生に、思いを至らせれば、犯行はなかったはずです」

 
馬とともに歩みを進め、馬とともに走り続け、馬からたくさんの喜びや恩恵を受けてきた過去を振り返らせ、保険金目的といわれる短絡的な犯行を戒める言葉だったといえるでしょう。

 

 

 

 

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長嶺 超輝

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