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震災直前の飲酒死亡事故に対し、川本清巌裁判官の発言

time 2016/09/26

震災直前の飲酒死亡事故に対し、川本清巌裁判官の発言

 2011年3月11日に東日本大震災が発生し、仙台地方裁判所の壁もひび割れるなどして、一時的に裁判業務がストップしたことがありました。

 私は、まだ東北新幹線が復旧していない4月中旬から、東北の裁判所通いを開始しました。

  千葉や東京の法廷でも「震災で大変なときに、情けなく申し訳ない」など、東日本大震災に言及する当事者が多く見られたのが気になっていたからです。

 関東でこの状態なのだから、東北ではどうなっているのだろう。震災の被害や不安に付け込んだ犯罪の裁判を取材することによって、また違った角度から東日本大震災が見えてくるのではないか、との仮説のもとに、裁判所通いを繰り返していました。

 

 

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震災発生前に起きた、凄惨な飲酒運転事故

 この法廷で裁かれた事件は、仙台市内の国道4号線において、朝の通勤通学時間帯の飲酒運転で引き起こされた交通死亡事故です。

 交差点で歩道に乗り上げて、高校生の男子を轢いて死なせてしまいました。その他にも女子高校生ら2人を負傷させています。

 1月に起きたので、震災の以前の交通事故でした。

 28歳の被告人男性の呼気からは、0.6㎎/l(酒気帯び運転基準の4倍)のアルコールが検出されており、ほとんど酔っ払い運転の大変危険な状態だったといえます。

 検察官は懲役8年という厳しい求刑をしましたが、判決は懲役4年6か月。

 1999年、東名高速の出口でトラックが炎上し、姉妹2人が死亡した飲酒運転事故で、運転手に科されたのが懲役4年でした。その頃に比べれば、量刑相場は確実に上がっています。しかし、この件で危険運転致死傷罪が適用されていませんし、被害感情を考えれば不十分だったと見る向きもあります。

 死亡した男子の同級生は、「懲役何年だろうと、あいつはもう戻らない」と、悲痛なコメントを寄せています(判決公判当時の河北新報より)。

 

 逮捕後、保釈されていた被告人は、反省して震災ボランティアにも携わっていたことが裁判で明らかにされました。「今後は、少しでも人の役に立ちたい」と、被告人質問の手続きで述べていました。

 それを受けて、実刑判決を言い渡した川本裁判長は「遺族の気持ちをもう一度考えてほしい。あなたが社会復帰した時、東北はまだ復興の途中かもしれない。復興を手助けできる人になってください」と説諭しています。

 震災から3か月経っておらず、当時の仙台は、まだ街のあちこちに様々な傷跡が残っていただけに、そのような社会情勢から自然と出てきた助言としての説諭だったといえます。

 

 仮に満期出所だとしても、2016年の初頭には被告人は刑務所を出て、社会に復帰しているはずです。

 東日本大震災の記憶が風化しつつあるとはいえ、大津波に遭った沿岸地域では、確かに「まだ復興の途中」です。彼はどのようにして、取り返しの付かない飲酒運転事故を償おうとしているのでしょう。どんな形で世の中に関わっているのでしょうか。ふと、この時期に思い出しました。

 

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いらっしゃいませ

長嶺 超輝

長嶺 超輝

「ナガミネ マサキ」 と読みます。たまに、「カンダ マサキ」と間違われます。 [詳細]

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▼東日本大震災の被害に付け込んだ 卑劣な犯罪の記録。「地震大国」に住む以上、目を背けるわけにいかない現実

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