志田洋裁判長『おばあさんが葬式費用として貯めていたお金……』

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 夏らしいことを何もせずに、夏が終わってしまいそうです。

 夏らしく、熱気を帯びてフル回転しているのは、このノートパソコンの裏側ぐらいです。

 かといって、図書館にこもって、ペラペラめくりながらカタカタやっているのも、それはそれで非常に幸せで、大切な時間です。

 来年に期待しましょう!(と、去年も言っていた)

 

 こちらでは、2007年3月刊行『裁判官の爆笑お言葉集』と2008年9月刊行『裁判官の人情お言葉集』に収録できていない説諭を、ブログで少しずつご紹介しております。

 

「祖母の葬式費用出して」 裁判長、窃盗の被告諭す
2009.3.5 19:29 (MSN産経)

 仙台市で昨年5月、当時勤めていたホテルから現金約370万円を盗んだとして、窃盗罪などに問われた無職(30歳)=仙台市泉区=の控訴審判決で、仙台高裁は5日、懲役1年8月とした1審仙台地裁判決を破棄し、懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡した。

 志田洋裁判長は判決言い渡し後、被告の87歳になるという祖母が被害金を弁償した経緯に触れ、「おばあさんが自分の葬式費用としてためていたお金なのだから、ちゃんと更生し、あなたが葬式費用を出してあげて」と諭した。被告は深々と頭を下げた。

 判決は「盗んだ金をブランド品購入や遊興費に使い規範意識に乏しい」と非難する一方「被害を弁償しており、執行猶予を付けなかった1審判決は重すぎる」とした。弁護側が量刑不当として控訴していた。

 この被告人は、両親と生き別れたか、見放されていたのかもしれませんね。

 代わりに、87歳の祖母が、一肌脱いだわけです。かわいい孫のために、身を削って賠償を立て替えてくれたからこそ、逆転で執行猶予が付いた……。

 おかげで、2年6か月を刑務所で棒に振らずに済んだわけです。

 はたして、恩返しはできたのでしょうか。

 

 おばあさんに恩返しできるまでの時間は、そう長く残されているとは思えませんが、更生してもらいたいものです。

 おばあさんが貯めていた葬式費用は、自分のためではなく「家族に迷惑を掛けないためのお金」だと思うので、本当は、それを返しただけでは足りないんですよね……。

 

 犯罪の被害弁償というのは、大変難しいものです。

 特に、困窮の末に盗みを繰り返していたような事件なら「無い袖は振れない」わけで、なおさら微妙となります。

 そういえば、東北地方のある裁判所で、ホームレスの男性が起こした窃盗事件の裁判を傍聴したとき、弁護人が「店への被害弁償は、福島第一原発事故の補償金から賄います……!」と宣言していたのを聞いて、「すごいところを財源にしたなぁ」と、傍聴席でモヤモヤした気持ちになったのを憶えています。

 

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そのほか、志田洋裁判官のお言葉

  • 『犯行19件を詳しく読み上げるのはいささか戸惑いがあり、つらいが、被害者の傷に比べたら比較にならない。 懲役12年の刑事的な責任を果たすだけで、あなたの罪がすべて償われたことにはならない』

女子中高生らに対する連続強制わいせつ事件(未遂5件)を起こした警察官に対して、実刑判決を言い渡して。(横浜地裁 志田洋裁判長)2002/01/29

  • 『あなたが刑務所に行くかどうかを決める判決と、食事とどちらが大事ですか。何が大事か、分かる年齢でしょう。被害者への賠償も済んでいないし、常識をわきまえた対応をしてください』

交通事故で歩行者を死亡させたとして自動車運転過失致死傷罪に問われた70歳の女性に、禁固10か月の実刑を言いわたした後、判決公判に遅刻した理由を尋ねたところ、「お昼ご飯の場所が混んでいて……」と弁解したことに対して。(仙台高裁 志田洋裁判長)2008年11月14日

 


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