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日本でも、ついに『司法取引』が解禁へ。その素晴らしさとヤバさ

time 2016/05/25

日本でも、ついに『司法取引』が解禁へ。その素晴らしさとヤバさ

可視化法が成立=捜査・公判、大きく変化-司法取引も導入
(2016/05/24 時事通信)

 容疑者の取り調べ録音・録画(可視化)や「司法取引」の導入などを盛り込んだ、一連の刑事司法改革関連法が24日、衆院本会議で、与党と民進党などの賛成多数で可決、成立した。3年以内に順次施行され、犯罪捜査や刑事裁判のあり方が大きく変わることになる。
 可視化は、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件が対象。逮捕から起訴までの容疑者に対する取り調べで義務付けられる。現在は運用ベースで行われており、法制化は初めて。
 「司法取引」は、主に経済事件で、他人の犯罪解明に協力して不起訴などの見返りを得ることを、検察官と弁護人、容疑者の三者で合意できる制度。通信傍受の対象を振り込め詐欺などに拡大することと併せ、自白以外の証拠を集めやすくする目的で導入される。

 

「日本にはない」と、学生の頃からお勉強してきた司法取引なんですが、いよいよこの国で正式に始まりますよ。

社会派のハリウッド映画を観ていると、司法取引の場面が頻繁に出てきます。

ただ、アメリカでの司法取引は、『自分の罪』を認める代わりに、刑罰を軽くしてほしいという取引です。

一方で、今回の日本版司法取引は、容疑者が『他者の罪』をチクる代わりに、自分の刑罰を軽くしてもらおうという取引なのです。

 
なお、日本でも、裁判員制度の導入とともに新設された「即決裁判」というものがあります。
被告人が有罪を認めて争わない代わりに、裁判が1時間以内に終わって、その場で判決まで出て、必ず執行猶予がつくのです。 即決裁判は司法取引そのものではありませんが、実質的には、アメリカ型の自己負罪型司法取引に近いといえるでしょう。

 
<司法取引のメリット>

今回の日本版の司法取引には、組織犯罪の黒幕が暴かれやすくなり、捜査が効率化されるメリットがあります。

振り込め詐欺グループなどの犯罪組織の末端(かけ子・出し子など)を捕まえて、検察取り調べで「リーダー格の存在を教えれば、お前への求刑を軽くする(or起訴しない)」と持ちかけることができます。 今後、報復を受けるリスクを覚悟で、自分の罪を軽くしようと、組織の全貌を自白する者も、中に入るでしょう。

今回の法改正では、同時に、一部の取り調べを動画収録して、公式に可視化(見える化)することになりました。取り調べをする側にとっては新たな制約ができましたわけです。
ただ、それと引き替えに、通信傍受できる範囲が拡張され、新たに司法取引も認められることで、捜査機関の権限が大きく拡張されることになります。

これはこれで、検察や警察にとっては、エビでタイを釣るような「取引」だったのかもしれませんね。

ちなみに、この司法取引、正式には「捜査公判協力型 協議・合意制度」と呼ぶらしく、「取引」という言葉は使われていません。 取引というと、損得勘定のようなイメージがつきまとうので、公式には使いたくないかもしれませんが、実際問題、検察と容疑者の間で行われるのは、事実上の「取引」ですよね。

 

<司法取引のデメリット>

一方、自分の罪を軽くしたい容疑者が、事件と関係ない他人を共犯者として巻き込むタイプの冤罪が増えるのではないかと心配されてます

過去には、梅田事件(1950年)、八海事件(1951年)、最近では郵便不正事件(2010年検挙)で、無関係な他者が巻き込まれて冤罪被害が発生した例があります。

もともと、このような土壌があったところに、司法取引が正式に乗っかることで、冤罪発生の頻度が高まるリスクが指摘されていますね。

なお、容疑者がウソの供述を行うことを罰する「虚偽供述罪(刑事訴訟法350条の15)」という構成要件も新たにできるらしいですね。これで、巻き込み型の冤罪の発生を防ごうというのでしょう。

ただ、取り調べでは、自分の身の可愛さや、取り調べでの圧迫感に負けて、ついウソをついてしまったけれども、法廷で改心して本当のことを話そうという人もいるはずです。そういう人が、「虚偽供述罪」が存在するせいで追い込まれてしまって、最後まで本当のことを言えず、刑事手続きで重要な「真実発見」の要請からかえって遠ざかるおそれもあります。

 
<司法取引は、決して他人事ではない>

司法取引が適用されるのは、必ずしも裏組織の一員に対してだけではありません。 談合や独占禁止法違反、脱税や贈収賄などの一般企業犯罪、経済犯罪などにも適用されます。

企業に勤める皆さんも、どこでどんな犯罪の共犯者として巻き込まれるか…… その危険性が高まっていると煽るつもりはありませんが、確率はゼロじゃありません。

同僚や部下が取り調べられて、検察から司法取引を持ちかけられたとき、中には裏切り者や誘惑に弱い者がいてもおかしくないのです。

 
 

 

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長嶺 超輝

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「ナガミネ マサキ」 と読みます。たまに、「カンダ マサキ」と間違われます。 [詳細]

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